呼と循ゼミナール
いわゆるpseudo A-V block
高木 誠
1
1京都市立病院内科循環器
pp.246
発行日 1979年3月15日
Published Date 1979/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404203328
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心電図の上でPR時間の突然の延長,PR時間の1拍毎の交互変動,同一患者でのMobitz I型とII型ブロックの出現といった普通では説明のつかない現象がみられることがある。そのような現象の発現機序の一つとして,心房や心室へ伝播されなかった房室接合部の早期興奮,すなわちnonpropagated premature A-V junctional depolarizationが考えられる。この考え方についてはすでにLangendorfらにより普通心電図の記録から推定されていたが,近年ヒス束心電図の導入によりそのような機序の存在が実証された。
房室伝導系に異常を認めない正常人で,もし房室接合部の早期興奮が発生し,しかもそれが心房や心室あるいは,房室伝導系(房室結節およびHVレベル)が先行収縮による不応期のうちに発生すれば,その興奮は心房へも伝導されない。しかも房室接合部がこの早期興奮によって新らたな不応期にあるうちにつぎの正常の洞活動によって心房が興奮し,それがさらに心室方向へ下降しようとしても,それは心室へ達することはできない。
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