演習・X線診断学
単純X線写真による読影のコツ(11)骨および関節
大澤 忠
1
,
斎藤 和彦
1
,
古瀬 信
1
1自治医大放射線科
pp.1845-1848
発行日 1975年11月10日
Published Date 1975/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402206309
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骨は一見静止しているようにみえますが,類骨組織(osteoid)を形成し,アルカリフォスファターゼを産生する骨芽細胞と,食細胞として働く破骨細胞のバランスのとれた関係で維持されています.またX線陰影としてあらわれるカルシウムの代謝にはカルシウム摂取量,血中カルシウム・燐濃度,血液のpH,腎機能,腸管機能,ビタミンD,副甲状腺ホルモンなどの因予が関係しています.骨・関節といえばとかく整形外科的疾患を考えやすいのですが,上記のような種々の機構の障害は多くの全身性またほ他領域の疾患によっておこることを忘れないでほしいと思います.
骨・関節の単純撮影は2方向撮影(普通は正,側の直交する2方向)が原則です.また長管骨の場合,近位または遠位どちらかの関節がフィルムに含まれているべきです.骨には心臓や消化管のような不随意運動はないので,しいて短時間曝射を行う必要はなく,多少曝射時間がながくなっても微小焦点管球で鮮鋭度のよい写真をとりたいものです.高圧撮影は胸部写真に賞川されますが,骨が対象の場合,コントラスト,鮮鋭度ともに低下して得るところはありません.
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