超音波診断の読み方
産科
竹内 久彌
1
1順大産婦人科
pp.1850-1855
発行日 1975年11月10日
Published Date 1975/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402206310
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超音波診断にとって,骨のような硬組織や空気のようなガス体の存在は超音波ビームの入射を防げるため,これらに囲まれた臓器が診断対象として不利な条件にあることはいうまでもない.産科における診断対象である妊娠子宮は,妊娠4カ月を過ぎると腹壁に接して存在するため,超音波ビームの入射が容易であり,滑らかな腹壁表面は走査を行う際の障害がもっとも少ない.しかも,妊娠子宮内の構造は羊水中に胎児,胎盤が単純に配置されており,これも超音波診断に好適な条件ということができる.
このような超音波診断の対象としての有利な解剖学的条件に加え,全く無侵襲的に,くり返して施行できるところから,産科への超音波診断の応用は非常に盛んに行われている,事実,超音波診断の一方法であるドプラ法による胎児心拍検出装置の普及率はわが国の産科診療施設の80%以上に達するといわれ,断層法も胎盤付着部位診断のように産科では必須の診断法として多くの施設で利用されつつある.ドプラ法は聴診による胎児心拍検出が完全に日常的に用いられ,またこのドプラ信号を用いた胎児心拍数計が分娩監視の目的で普及しつつあるが,ここではこれらについての解説を除外し,以下にもっぱら産科領域における超音波断層像の読み方を述べることとする.
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