今月の主題 消化管潰瘍—診断および治療の現況
消化性潰瘍の成因と診断
線状潰瘍
五ノ井 哲朗
1
1福島医大第2内科
pp.1055-1057
発行日 1975年6月10日
Published Date 1975/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402206077
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線状潰瘍とは
胃の消化性潰瘍はまた円形潰瘍とよばれることからも知られるように,その形が円または楕円形を呈するのが通常であり,それが治癒すると円形瘢痕(いわゆる星芒状瘢痕も含まれる)を形成する.これに対して細く長い線状の潰瘍瘢痕があることも古くから知られ,線状瘢痕とよばれてきた。
1954年,村上ら1)はこれら線状瘢痕とよばれてきた病変の多くが,組織学的に未修復の部分を含む潰瘍そのものであり,瘢痕というよりはむしろ線状潰瘍とよぶべきものであることを指摘した.以来,わが国において,線状潰瘍に対する関心がにわかに高まり,あいついで多数の研究が発表されるにいたった.今日でもそのカテゴリー,成因などについてなお論議を残すとはいえ,線状潰瘍の病理,臨床所見,診断についてはその大要がほぼ明らかにされたといってよい.
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