今月の主題 十二指腸潰瘍〔1〕
研究
十二指腸線状潰瘍のX線診断
野本 一夫
1
,
西沢 護
1
,
日暮 協
1
,
早川 尚男
1
1千葉大学医学部第一内科
pp.37-47
発行日 1967年1月25日
Published Date 1967/1/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403110447
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1.はじめに
線状潰瘍を臨床にとり入れたのは村上である.村上(1954)が,多数の切除胃症例の詳細な病理組織学的検索から,臨床像に著明な特異性を持つ胃潰瘍として取り上げたものである.1956年われわれは,線状潰瘍そのものを,はじめてX線的にあらわし,線状ニッシェとなづけた.また線状潰瘍による胃の変形をも検討した.その後増田,岡部らの研究がある.それまではHauser(1926)が,胃潰瘍の治癒型の一つとして,線状瘢痕Lineare Narbeと記載して以来,胃潰瘍の治癒型として,病理学的興味の対象としてのみ扱かわれてきただけであった.しかしFrik(1965)はSchinzのX線診断学の教科書の中で,線状潰瘍について言及している.
十二指腸線状潰瘍についても,わが国において村上・鈴木(1954),佐野(1957),われわれ(1956)が,はじめ対称性潰瘍の中の一つとして病理学的X線学的研究を行ない,1959年頃より,熊倉およびわれわれは特異な球部変形を示すようだということで,研究を行なうようになったもので,海外の文献には,Meuwissen(1955)に十二指腸潰瘍線状ニッシェstreaky duodenal ulcer nicheという記載があり,またTeschendorf(1964)に球部短縮Retraktionという記載がみられるだけである.
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