今月の主題 問診
症状別問診法
出血と問診
安部 英
1
1帝京大内科
pp.730-731
発行日 1973年6月10日
Published Date 1973/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402204776
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出血症状に関する問診も,出血が皮膚や粘膜の出血斑を主体とするもの,鼻血や吐血,喀血あるいは下血や血尿,性器出血などのように出た血液が体外に出されるもの,あるいは関節内出血や筋肉内血腫などのように,相当量の血液が体腔内や組織内に貯留しているものなど,それぞれの模様によって多少の相違がある.たしかに同じく出血症状といっても,それらが示す臨床症状にはかなりの違いがあるが,基本として血液が血管外に出ることは同じであるので,ここではそれらに共通な問診のすすめ方について考えてみたい.
表は筆者が通常,出血患者に臨み,当面する出血の局所および全身症状について問診をすすめる際の順序を模式的に示したものであるが,それは大体4段階に分けられる.すなわち,まず1)この度の出血が最初に現われた時の模様について訊ねた後,2)それ以後の経過で出血状況がどのように変化したかを聞き,さらに3)その間に自然治癒または治療で軽快ないし不変,悪化した際はその反応性について質し,最後に4)これまでの既往歴や家族歴について訊ねることにしている、もちろんこの間にあって,この出血のおこる機序が血管性か血流性か,あるいは血小板や凝固因子,線溶活性などの血液成分によるかの見当をつけ,それらについても設問するが,それは各段階にわたるものであるので表には割愛した.
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