特集 これだけは知っておきたい検査のポイント
XII.細菌検査
血液培養
勝 正孝
1
1市立川崎病院
pp.692-693
発行日 1975年3月20日
Published Date 1975/3/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402205967
- 有料閲覧
- 文献概要
異常値を示す疾患
血液中には健常者では病原微生物は検出されない.慢性,亜急性,急性の敗血症の諸症状を呈している患者の血液から菌を検出すれば,その診断価値はきわめて大きい.菌血症は敗血症必発の症状で,敗血巣の確認と共に敗血症の重要な要素である.軽い悪寒,発熱,頭痛,腰痛など軽度の敗血症状を呈し,流血中より一過性に菌を検出する場合がある.多くは一疾患の経過中または処置後にみられ(肺炎,髄膜炎,重症腎盂腎炎,アンギーナ,抜歯,尿道ブジーまたはカテーテル挿入,子宮内膜掻破など),一過性の菌血症のみで終わることが多い.この菌血症も生体側の諸要因,侵入菌の毒力によっては,病巣が敗血巣となりあるいは新しい敗血巣が生じ,細菌性心内膜炎あるいは急性敗血症にまで発展移行する場合もある.敗血症あるいは菌血症いずれであっても,血中より菌を検出した場合の臨床上の意義はきわめて大きい.
内科においては近頃,最初から敗血症あるいはその疑いとして入院して来る定型的な患者はきわめて稀である.最近では図に示すような基礎疾患患者に各種の治療または処置を行った場合に,それらが誘因または"trigger"となり,敗血症が誘起される,換言すれば"secondary septicemia"さらには死亡直前に来分する終末敗血症(terrninalsepticemia)が大部分を占めている.
Copyright © 1975, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.