特集 これだけは知っておきたい検査のポイント
VIII.血液化学検査
アンモニア窒素
高橋 善弥太
1
,
蟹江 匡
1
1岐阜第1内科
pp.576-577
発行日 1975年3月20日
Published Date 1975/3/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402205917
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異常値を示す疾患
劇症肝炎では通常血中アンモニアの中等度上昇を認める1)が,アンモニア値が低くても肝性昏睡をきたしていることもあり,endogenous comaの成因をアンモニアのみでは十分に説明できない.
猪瀬型の肝脳疾患では門脈副血行路をとおして,末梢血に流入するアンモニアが,海馬などの大脳辺縁系に働いて,興奮,情動行動の異常,健忘,羽ばたき振せん,唾液分泌の亢進などの症状を起こす.
日本住血吸虫症やBudd-Chiari症候群のような短絡型の肝病変やEck瘻形成手術後でも,しばしば高アンモニア血をきたす,1962年に白木らによって報告された類瘢痕脳型pseudoulegyric typeの肝脳疾患では,脂肪肝または軽い脂肪性肝硬変症があるが,このさいに認められる高アンモニア血を,門脈,大循環系の短絡では十分に説明できない面がある.
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