今月の主題 意識障害への新しいアプローチ
知っておきたい脳症
肺癌による偽性副甲状腺機能亢進症
藤田 拓男
1
1東大老年病学
pp.22-23
発行日 1975年1月10日
Published Date 1975/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402205726
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はじめに
肺は発生学的にホルモン産生組織となんらかの関係があるのか,肺癌ではいろいろなホルモンが産生されることが多く,これは癌化の過程で蛋白合成の過程に大きな変化がおこり,一部は発生的に古い状態に回帰するためであると思われる.すなわち,ACTH産生肺癌,セロトニン産生肺癌などが知られており,偽性副甲状腺機能亢進症といわれるものも,その本体は肺癌による異所性副甲状腺ホルモン産生であると思われる.副甲状腺ホルモンは血清カルシウムのレベルを維持する上に重要な生理的役割をもっており,その過剰分泌状態,すなわち副甲状腺機能亢進症では血清カルシウムの異常上昇,すなわち高カルシウム血症がみられる.肺癌による偽性副甲状腺機能亢進症でも,その主な臨床所見は高カルシウム血症であり,意識障害が問題となるのは著明な高カルシウム血症がおこるときに限ると思われる.
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