今月の主題 手術適応の問題点
他の治療法との関係からみた手術適応
脳腫瘍
畠中 坦
1,2
1帝京大
2東大脳神経外科
pp.1267-1271
発行日 1974年10月10日
Published Date 1974/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402205602
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緒言
癌・腫瘍の本態についての考え方が近年革命的に変革を遂げつつあるが,脳腫瘍についても同様であり,今やヒトのビールスで実験的脳腫瘍さえ作れる世の中になり(向井,小川,小林)6),腫瘍の治療と免疫の関連がきわめて重要になってきた.おそらく腫瘍の治療を考えるにあたって,免疫による腫瘍の治療過程を阻害することは腫瘍の本質的治療の途ではないのではないかとさえ考えられる.患者生体の免疫機転を保持し,むしろ増強するような療法が今後,発展し続けるものと思われる.
外科的手術それ自体は若干の免疫抑制が起こるものであるが,脳腫瘍の治療には,いかなる種類の脳腫瘍にも不可欠である.その理由は,①病理組織診断の確立のため,②薬物・免疫・放射線療法のいずれを問わず,腫瘍への充分な血流がなくては治療効果が期待できない(薬物,免疫因子,酸素,アイソトープなどが腫瘍に到達しない),③脳腫瘍のため阻害されている脳循環を改善しなくては脳機能の回復は望めない,などによる.
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