今月の主題 新しい臓器相関のとらえ方
臓器相関からみた症候群
心性肺
岩崎 栄
1
1国立大村病院・内科
pp.50-51
発行日 1974年1月10日
Published Date 1974/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402205265
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心性肺の概念
肺と心との相関は,従来より慢性肺性心の概念で説明されており,その病態は,ほぼ明らかにされ,最近では,機能的肺性心とか,早期肺性心状態の把握と,その病態生理学的解明がなされつつある現状である.このように,肺の機能およびまたは構造に影響を与える疾患の結果起こった右室の肥大を慢性肺性心と呼ぶのに対して,「心臓の機能およびまたは構造に影響を与える疾病の結果起こった慢性的な肺の病変を心性肺」と総称している.ただし肺の病変とは,肺静脈圧の上昇にもとづく肺間質や肺胞における浮腫性変化であり,この状態の持続による肺間質および肺胞壁の線維化(肺疾患自体による線維化を除く)であるという1),2).心と肺との間は,右室—肺—左室の配列からみて明らかな如く,血行動態的には,たがいに相関し合う位置にあり,Hopeによりはじまり,Starlingによって確立せられた心不全発生機構の後方障害説から説明すれば,肺疾患の後方障害としての右心障害は肺原性心疾患(肺性心)であり,左心障害の後方障害として生ずる肺病変を心原性肺疾患(心性肺)といえよう3).
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