今月の主題 新しい臓器相関のとらえ方
臓器相関の概念
臓器相関の考え方
吉利 和
1
1東大・第1内科
pp.10-11
発行日 1974年1月10日
Published Date 1974/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402205248
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考え方の変遷
吉代ギリシャ時代の疾病観が,ヒポクラテスの体液的な考え,アスクレピアデスの固体的な見方など,いずれも自然哲学的思弁に強く依存していたのに対して,ルネサンス期以後に人体解剖という実証的な方法によった疾病論が登場したわけである.とくにMorgagni(1682〜1771)は,多数の剖検例から,生前の症状と剖検時の形態学的変化とを関連づけて,疾病というものがある臓器に座をもつことを強調し,ここに,疾病の臓器局在論がはじまったわけである.この流れは今日までも病理学の主流をなしていると考えてよかろう.
この考えのその後の発展はいくつかの流れにわかれたが,形態学をつきつめる立場は組織病理,細胞病理へとすすみ,疾病の座を細胞に求めるVirchowらの立場にすすんだわけである.これに対してRokitansky(1804〜1878)のような新しい体液病理学の流れがあり,各臓器の病変の存在を規定する共通の立場にそって疾病をながめようとしたようである.この2つの流れは決して相反するものではないと思うが,現象を分析する方向と,それらを総合しようとする立場ともみられる.
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