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ドパミン・ネットワーク
若泉 謙太
1
1慶應義塾大学麻酔学教室/痛み診療センター
pp.998-998
発行日 2023年8月1日
Published Date 2023/8/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_seikei74_998
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ドパミン・ネットワークとは,神経伝達物質であるドパミンを介して脳内で情報が伝達される神経回路のことである.中脳の黒質・被蓋野に存在するドパミン神経の主な投射先は,線条体,前頭前野,帯状回,扁桃体,海馬,視床下部,下垂体などである.その中で,黒質緻密部から背側線条体へ投射するドパミン神経は運動制御に関与し,Parkinson病で障害される神経回路として知られている.一方で,中脳腹側被蓋野(ventral tegmental area:VTA)から側坐核(腹側線条体)へ投射するドパミン神経は,報酬や快楽,学習,動機づけなどにかかわっており,うつ病や慢性痛で機能低下が報告されている.本稿では,整形外科領域で特に注目すべき内容である痛みにかかわる中枢神経領域として,後者の脳内報酬系にかかわるドパミン・ネットワークについて,基礎と臨床の両面から解説する.
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