緊急室
胃管挿入法・胃吸引・胃洗浄・気道の吸引
川田 繁
1
1自衛隊中央病院・麻酔科
pp.2138-2139
発行日 1973年12月10日
Published Date 1973/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402205242
- 有料閲覧
- 文献概要
胃管挿入法
胃管(Magensonde, Katheter)の挿入は,胃内容物の吸引ばかりでなく,経管栄養補給にも利用される.挿入手技の巧拙が患者の苦痛を左右するので,できるだけ円滑な挿入を心がけねばならない.
1)意識のある患者には:使用するカテーテルは比較的軟らかいものでよい,経鼻的挿入が容易であり,留置するにもこの方が患者にとって苦痛が少ない.あらかじめカテーテル先端に約10cm程度キシロカインゼリーを塗っておく症これは滑剤となるとともに粘膜麻酔剤となる.患者の頭側(または側方)に立ち,1側の鼻孔から顔面に垂直方向にカテーテルを挿入する(図1).この挿入方向は酸素吸入時のカテーテル挿入の要領(10巻3号)と同じである,左第1,2指でカテーテルを支え,右手指でカテーテルを軽く押しながら静かに送り込む.カテーテル先端が咽頭部に届いたかどうかを患者に聞いて確かめ,患者に唾液を続けて飲み込むように命じ,嚥下運動に合わせてカテーテルを数cmずつ送り込むようにする.先端が咽頭に届いたかどうかを確かめるには,患者に聞くほかに口を開けて調べる方法もあるが,前もって患者の耳朶と鼻尖間の距離を計っておき,この距離だけカテーテルを挿入すれば確実に口蓋垂の後方に達している.挿入は数cmずつゆっくり行ない,決して急いだり患者を叱ったりしてはならない.喉頭反射が強いときは少し待って繰り返すか,ときにはキシロカインを喉頭部に噴霧してやるとよい.咳込むのは,挿入を急ぐのあまりカテーテル先端が気管部を刺激するためであることが多いから,いったん数cm引き抜いて,改めて挿入を行う.
Copyright © 1973, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.