今月の主題 最近の老人病—臨床とその特異性
老人によくみられる症状—どう対処するか
皮膚瘙痒症と紫斑
上野 賢一
1
1東医大皮膚科
pp.2079-2081
発行日 1973年12月10日
Published Date 1973/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402205226
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
皮膚療痒症 Pruritus cutaneus
皮膚に痒みだけがあり,何の発疹もない状態をいう.しかし痒ければ必然的に掻破し二次的に?痕(Kratzeffekt)・掻破湿疹(Kratzekzem)・苔癬化(Lichenifikation)・膿痂疹化(Impetiginierung)を生じ,この苔癬化までを本症の中に含ませる人もある.
山碕ら(昭33)は表1のような年齢分布をみ,実数では加齢的増加はないが年齢層に対する頻度は高いとし,小嶋(昭39)は年齢的増加を認めている(表2).老人における瘙痒症は,男子に多く(2倍),汎発性:局所性は18:11と局所性は必ずしも少なくなく,冬期に発することが多い(山碕ら).瘙痒症の誘因や分類については次に述べるが,一般的基盤として皮脂減少状態(asteatosis),皮膚乾燥状態(xersis,dry skin)があり,かかる皮膚脂肪膜の乏しいことは外的刺激閾値の低下をきたらしめていることが予想される.
Copyright © 1973, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.