特集 これだけは知っておきたい治療のポイント
VII 神経
2.内科医に必要な精神科治療のポイント
不眠の対策
平井 富雄
1
1東大分院精神科
pp.1814-1815
発行日 1973年11月20日
Published Date 1973/11/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402205118
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一般に不眠はひとつの症状であって,それ自体が原因疾患ではない.したがって,不眠を誘発するような原因疾患が,その根底にあるということになる.
不眠症状を訴えることが比較的多い症状としては,神経症,躁うつ病,精神分裂症などのほか,胃・十二指腸潰瘍から高血圧症などの身体疾患がある.これだけには限らないが,とくに精神神経科領域に属する症状の初期症状として,不眠が多く訴えられることをここに強調しておきたい.たとえば,神経症ではその約60%近くが不眠症状を訴えている.ごく平均的な公立病院の精神科外来を訪れた患者のうち,不眠症状についての統計をかかげると,表のようである.このうち,精神疾患であるための部分症状としての不眠が,約25%あるから,一般臨床においては,この統計における総数約44%から25%を引いた数,つまり約20%近くの不眠を訴える患者がいると推定できよう.アメリカでは,一般臨床における不眠症状を持つ患者は約40〜60%に及ぶといわれている.
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