特集 これだけは知っておきたい治療のポイント
IV 肝・胆・膵
4.肝疾患に合併症のみられたとき
妊娠と黄疸
浪久 利彦
1
,
黒田 博之
1
1順大消化器内科
pp.1712-1713
発行日 1973年11月20日
Published Date 1973/11/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402205072
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妊娠は本来生理的な現象であるが,末期には肝機能検査成績に軽度の異常を示すものが多い.無黄疸性であるが,生化学的には,妊娠9カ月で,アルカリフォスファターゼ(Al-P),ロイシンアミノペプチターゼ(LAP),コレステロールの軽度上昇がみられ,分娩直前にはコリンエステラーゼの減少とγ-グロブリンの軽度上昇がみられる.膠質反応,トランスアミナーゼには異常なく,色素負荷試験は妊娠末期に軽度の異常をみることがある.これに対して肝は形態学的に正常である.妊娠中に黄疸が現われることはごく稀で,2,000〜4,000例に1例であり,その原因は表に示すように各種肝胆道系および血液疾患に基づき,その確診が治療の根本である.
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