特集 妊娠時の生理--その適応と異常
Ⅲ.適応異常とその周辺疾患
妊娠と黄疸
百瀬 和夫
1
,
森本 敬三
2
Kazuo Momose
1
,
Keizo Morimoto
2
1東邦大学医学部産婦人科教室
2東京都立荏原病院産婦人科
pp.1014-1016
発行日 1977年11月10日
Published Date 1977/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409205722
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肝臓はその巨大な容量と複雑な機能により,体内における生産工場と浄水場の役割を余裕をもって果たしているように思われる。しかし妊娠時における負担の増大は,肝機能を最大限に近く発揮させて,ようやくバランスを保たせているのではなかろうか。幾つかの検査法で,その値は正常の上限に近いか,あるいは時にそれを僅かに越えていることからもうかがえる。ホルモン漬とも例えられる多量のホルモン分泌,母児の代謝に加えて,貧血,栄養障害,過労,中毒,感染などにより,肝機能—代謝の平衡は破れて,急激な崩壊に至る可能性が秘められている。
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