正常値
年齢別胃液酸度の正常値
増田 久之
1
,
井上 修一
1東北大・山形内科
pp.256-258
発行日 1967年2月10日
Published Date 1967/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402201673
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
胃液酸度
胃液酸度は正常人でも胃疾患患者でも個人差があり,また同一人でも日変動を示し,季節変動のあることが知られている。このような変動は胃液の複雑な分泌機構によるもので,神経性因子,局所性因子(拡張,食餌,温度,pHなど),ガストリン,セロトニン,副腎皮質ホルモンなどの影響を受けるためである。
また胃液酸度を比較する場合,ことにその再現性で問題になるのは分泌刺激剤である。分泌刺激剤としては以前は試験食が用いられたが,最近ではカフェイン,アルコール,インスリン,ヒスタミン,histalogなどが使用されている。しかし作用機序が異なり,用量による差もあるので,再現性を問題にするには最大刺激が必要で,ヒスタミンでは0.02〜0.04mg/kg,histalogでは1.0〜2.0mg/kgとされている。また従来は濃度としての酸度(臨床単位またはmEq/L)が測定されていたが,遊離酸度や総酸度の概念があいまいなため,現在では胃液分泌量(ml/hour)や塩酸分泌量(mEq/hour)として表現されることが多い。
Copyright © 1967, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.