今月の主題 化学療法剤—現状とその使い方
グラフ
抗生物質による聴器障害の病理—動物の内耳の病理組織像を中心に
秋吉 正豊
1
1東京医歯大難聴研究施設難聴病理研究部
pp.881-888
発行日 1973年7月10日
Published Date 1973/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402204823
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耳毒性抗生物質と聴器障害
耳毒性抗生物質の種類 医療用に開発されている抗生物質の種類は1967年頃までで,すでに142種ほどが報告されているので(Gottlieb and Shaw,1967)1),その後に開発された新しい抗生物質を加えると,現在ではかなりの種類の抗生物質が医療用に用いられているように思われる.
これらの抗生物質のうちには聴器を障害して,めまいや,耳鳴または聴力低下を起こしたり,はなはだしい場合には完全な難聴をきたすものもある.このような抗生物質による聴器障害が臨床的に注意されるようになったのは,硫酸ストレプトマイシン(硫酸SM)が結核症に対する優れた治療薬として登場した1945年以後のことである.
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