今月の主題 化学療法剤—現状とその使い方
化学療法剤の選び方・原因菌不明の場合
新生児,未熟児感染症
中沢 進
1,2
1昭和大・小児科
2都立荏原病院
pp.848-849
発行日 1973年7月10日
Published Date 1973/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402204812
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小児死亡の2/3は1年未満の乳児で,この内2/3は生後4週未満の新生児,特に未熟児の占める割合は化学療法の普及した現況においても減少の傾向を示していない.この原因の一部として生体発育機構の未熟性(抵抗性の減弱),出産時の各種障害,奇型等の諸問題も多分に介在しているが,感染症に原因する死亡が成熟児でも10%,低出生体重児では20%前後とされており,化学療法の利用如何により開拓される余地が多分にある.
この年齢層の感染症中重症化の傾向を辿り易い代表的なものとしては肺炎,敗血症,化膿性髄膜炎,軟部組織の炎症等であり,特に肺炎の占める比率は大きい.東京都母子保健院で観察された新生児剖検例の結果をみても,死亡原因の約20%を肺炎が占めている点からも理解できる.
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