今月の主題 内科最近の話題
胃腸
消化管ホルモンをめぐって
松尾 裕
1
1東大・第3内科
pp.440-441
発行日 1973年4月10日
Published Date 1973/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402204681
- 有料閲覧
- 文献概要
消化管ホルモンは,消化管粘膜に散在する内分泌細胞より,主として摂取された食物およびその消化粥により刺激されて分泌され,血中に入り消化器臓器に働いて,消化液の分泌や運動機能を調節し,生体内における消化吸収の過程を調節するペプタイドホルモンである.
消化管の機能は消化吸収であるが,その機能は自律神経と消化管ホルモンによって調節されている.したがって消化器疾患とくに消化管の疾患あるいは症候は,この自律神経と消化管ホルモンの調節機能の異常によって説明されることが多い.近年,各種の消化管ホルモンについて化学構造が決定され,合成にも成功するようになると,消化器病を消化管ホルモンの分野から診断,治療することが可能となってきた.このことは,従来形態学的変化を中心にして進められてきた消化器病学を機能的な,あるいは内分泌学的な手法によって研究することが可能となり,消化器病にとって新しい動向といわなければならない.
Copyright © 1973, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.