特集 これだけは知っておきたい診断のポイント
IX.腎・泌尿器系
1.尿定性検査異常をどう考えるか
血尿をみたときに
稲田 俊雄
1
1都立大久保病院・泌尿器科
pp.1327-1330
発行日 1972年7月5日
Published Date 1972/7/5
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402204299
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"おしっこに血が混じっていた"という患者はその驚きのために,割合に早く医者を訪れるようである.つまり血尿を初発症病とした場合には,発症から初診までの時期は比較的短いともいえる.しかしその訪れ先が問題なのである.おそらく開業医としての専門的泌尿器科医の少ないこともあろうが,約2/3は内科医その他に,残り1/3が泌尿器科医を訪問するというのが現況である.そして泌尿器科医を訪れるほうの患者は,どちらかといえば疝痛発作,あるいは排尿痛,頻尿などの膀胱症状を伴っており,このような症状のない,いわゆる無症候性血尿といわれる発症をしたほうは,そのすべてとはいわないが内科医を訪問する.ところが本当に重要な病気が隠されていることの多いのは後者であり,いろいろ症状を随伴する血尿はだいたい,たいしたことはないといってよい.それではたいへんなほうを引き受ける内科医の方がたが,この血尿をどのように処理し,得た情報をどのように解釈すれば,まちがいのない診断ができ,正しい治療方針がたてられるかということを簡単に述べる.
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