特集 これだけは知っておきたい診断のポイント
IX.腎・泌尿器系
1.尿定性検査異常をどう考えるか
たまたま蛋白尿が見つかったとき
白井 洸
1
1九大・第3内科
pp.1322-1327
発行日 1972年7月5日
Published Date 1972/7/5
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402204298
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蛋白尿が出現する腎の病態生理については必ずしも完全に解明されていないが,現在,一般に蛋白尿は最も重要な腎疾患の徴候であると考えられており,実際の診療では蛋白尿を認めるだけで腎疾患と診断されている場合が多い.さらに近年は尿の検査が病院や診療所に訪れた患者のみならず,入社試験や入学時の身体検査のさいに行なわれる頻度が増してきているので,本題の"偶然蛋白尿を発見する"機会が多くなってきつつある.そのため腎疾患が早期発見される利点もあるが,反対に蛋白尿があるために不当な制約を強制されたりする結果も出てきている.
このようなことから"たまたま蛋白尿を発見された場合"の患者の取扱いが重大な問題となってきているが,残念ながら蛋白尿の出現機序は未だ必ずしも明確でなく,さらに腎疾患そのものも病因や病理が完全に解明されていないので,このような患者の扱い方も臨床家によって異なり一定していない.そこで本稿では私が日常の診療でどのように,このような患者を検査していくかを具体的に示してみる.
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