診断のポイント
見逃がしやすい小腸疾患—非特異性多発性小腸潰瘍症を中心として
八尾 恒良
1
,
淵上 忠彦
1
1九大・第2内科
pp.610-613
発行日 1972年5月10日
Published Date 1972/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402204081
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はじめに
実地医家にとって,小腸疾患,殊に器質疾患の診断は極めて困難と考えられ,また敬遠されがちなものの1つであろう.
これは小腸には器質的疾患,殊に悪性疾患の頻度がきわめて低いことが,その一因となっていると考えられる.試みに,表1に昭和38年1月より,昭和46年6月までの九大二内科の全入院患者中に占める小1湯疾患の頻度と内訳を示した.この間に小腸疾患を主な理由として入院した患者は110名(2%)であるが,更に術後障害を除いた器質疾患のみを対象とすれば,僅か17例で,この間の全入院患者中にしめる頻度は0.3%にすぎない.このように小腸の器質疾患は,診断の困難な症例が集まり易い大学病院内科においても,きわめて稀な疾患であるので,第一線の医師にとっては更に頻度の低い疾患であることが予測される.
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