治療のポイント
副腎皮質ホルモンの長期使用法—SLEを中心に
大藤 真
1
1岡大内科
pp.54-58
発行日 1972年1月10日
Published Date 1972/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402203967
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膠原病における副腎皮質ホルモンの適応
副腎皮質ホルモン(steroid hormone以下SHと略)は,現在われわれのもつ最強の抗炎剤であるが,一面免疫抑制剤の1つでもある.膠原病は元来,Klemperer(1942)によって病理組織学的所見の共通性によって統一された疾病概念であるので原因論,症候学の面で完全に統一されているわけではなく,臨床上の診断・治療の対策は個々の疾病に応じてたてねばならない面が少なくない.しかし,近年SLEを中心として膠原病病態が全般に自己免疫現象によって理解されてきているので,膠原病共通の診断・治療の方向づけは自己免疫を中心とした免疫異常を対象として行なわれる傾向にある.したがって,膠原病とくに自己免疫現象の明らかなSLEを中心とした疾病の治療としては,自己免疫の対応策がその根幹をなすといってさしつかえない.
自己免疫疾患の治療対策とは,病変局所に対する治療と,全身性の免疫異常に対する抜本的是正策とに集約することができる.前者はアレルギー炎を抑制することであるので,当然抗炎剤の適応であり,後者は抗体産生組織の自己抗体産生を抑圧する治療であるので,いわゆる免疫抑制剤の適応である.
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