診断のポイント
抗核抗体が陽性のとき
河合 忠
1
1日大臨床病理
pp.50-53
発行日 1972年1月10日
Published Date 1972/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402203966
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膠原病と自己抗体様因子
膠原病を臨床的に診断する場合,大きく2つのアプローチがある.1つは,比較的特徴的な局所症状をもっていて局所症状からそれぞれの膠原病を疑う場合で,たとえば定型的な全身性エリテマトーデス(SLE),Wegener肉芽腫症,Behçet病,皮膚筋炎,強皮症,慢性関節リウマチ,などがある.他の1つは,不定の全身症状からいろいろな膠原病以外の疾患を除外し,必要な検査を追加しながら診断を進める場合である.
後者の場合に比較的参考になる臨床検査所見としては,赤沈値の亢進,原因不明の貧血,蛋白尿,血中γグロブリンの多クローン性増加などがある.しかし,これらの検査所見はいずれも膠原病に特異的なものではなく,他の疾患においても高頻度に認められる.そこで開発されてきたのが種々の血清学的検査方法である.すなわち,膠原病は一種の自己免疫病と考えられているが,臓器特異性自己免疫病とは異なり,単一の臓器を侵すことはなく広く全身に分布する構成成分(結合織,核蛋白など)に病変が認められるのが特徴である.このように,全身に分布する抗原成分に対する自己抗体様因子が膠原病で比較的高頻度に検出され,次のような4つの因子が重要である.
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