臨時増刊特集 身体所見のとり方と診断のすすめ方
●小児の身体所見のとらえ方
XIX.チアノーゼと蒼白
1.チアノーゼ
草川 三治
1
1東女医大小児科
pp.944-946
発行日 1971年5月20日
Published Date 1971/5/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402203692
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チアノーゼとは,粘膜とか皮膚が青紫色になることをいい,これはその場所の毛細血管内を流れる血液中の還元ヘモグロビンが,5g/dl以上ある時に,外から見ればその色が出てくる.従って毛細血管の多い,或いはその色のよく見える口唇,爪床などにまず見られ,やや強ければ指趾先端部,耳介,頬,眼瞼,口腔粘膜などにも見られるし,非常に強ければ全身の皮膚にも見られる.
血液中のヘモグロビンは健康成人男子で16g/dl,健康乳幼児で大体12g/dl位であるから.成入では1.3,乳幼児では約半分近くが還元ヘモグロビンにならないとチアノーゼは出現しない.もし貧血があって,ヘモグロビン自体が非常に減少していると,チアノーゼを起こす原因が非常に強く,よほどの酸素不足状態にならないと出現しないし,それまでに酸素不足で死亡することもありうる.換言すれば,チアノーゼの程度と生体の酸素不足の程度は必ずしも一致しない.このことはチアノーゼの観察に当たり,ぜひ知っておかねばならないことである.チアノーゼという所見をどのようにとらえ.診断に結びつげるかということが,本書の課題であるが,その前にその成因をよく理解し,次いで本論に入りたい.
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