連載 新生児の異常
脈拍・チアノーゼ
草川 三治
1
1東京女子医大
pp.50-53
発行日 1974年1月25日
Published Date 1974/1/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611204640
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1.脈拍
胎児期および周産期においては,胎児の心音や心拍数は,循環動態を示す重要な所見として観察されるが,分娩が終ってしまうと,今度は直接目で見える所見,たとえば皮膚の色や呼吸の状態,ミルクの飲み方,泣き方などが第1の観察点となり,脈拍はどちらかといえば第二義的なものとされがちである。
これは一つには新生児の脈拍がややふれにくく,数だけならばともかくも,脈拍の性質までは十分つかめないこと,また新生児では病的な不整脈は比較的少なく,先天性心疾患の診断でも,この新生児期に脈拍が問題になるのは,大動脈縮窄や動脈管開存の一部位のもので,臨床上やや意義が少ないことによることも事実である。しかし脈拍は最も簡単に見られる循環動態の指針の一つであり,心疾患だけでなく,他の感染症その他の場合にも,脈拍数はやはり大切な所見で,新生児の一般状態の観察の一つとして欠くことのできないものである。
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