臨時増刊特集 身体所見のとり方と診断のすすめ方
●小児の身体所見のとらえ方
XIX.チアノーゼと蒼白
2.蒼白
草川 三治
1
1東女医大小児科
pp.946-947
発行日 1971年5月20日
Published Date 1971/5/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402203693
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蒼白という言葉は,全身の皮膚の色に対しても用いてよいが,普通は顔色について用いる言葉である.顔の皮膚の毛細血管が収縮してその血流が少なくなっても蒼白になるし,貧血で血液の色が薄いためにも当然蒼白に見え,また皮膚が厚かったり,浮腫があって,皮膚毛細血管の色が表面まで出てこないということもその原因になる.
顔色が悪いということは,患者を最初に見た時,一見してわかる症状であり,また〜母親はもちろん,周囲の人が誰が見ても気づくことであるから,病気の発見やその診断には非常に重要な手がかりになる.また全く心配のない場合もあれば,非常に悪性の疾患、例えば白血病のようなものの初期症状ということもあり,その診断の決定には慎重を要する.どんな疾患でも,病気となれば多少とも顔色は悪いということがあっても不思議ではないが,顔面蒼白ということが比較的特徴的な疾患をあげ,その後の診断の過程をあげてみることにする.
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