臨時増刊特集 身体所見のとり方と診断のすすめ方
●小児の身体所見のとらえ方
XVIII.咳・喘鳴と呼吸困難
1.咳と喘鳴
中山 喜弘
1
1九段坂病院小児科
pp.940-942
発行日 1971年5月20日
Published Date 1971/5/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402203689
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小児科外来診療のうちで,咳と喘鳴は日常経験することの最も多い愁訴の1つである,咳や喘鳴のひどい場合は,小児の安静をさまたげ,嘔吐を誘発し,その結果栄養障害をきたす場合もあり,家人の不安を増すこととなる.わずらわしい症状の1つであるので,安易に鎮咳剤を与えてしまいがちである.
咳のおこる機構は,気道に対する刺激が,まず気管・気管支に存在する咳受容体を刺激する.その刺激が求心性迷走神経を介して延髄の咳中枢を興奮させて咳をおこすと考えられている.元来は,異物や喀痰を外へ排除するという生理的な作用である.また,喘鳴は離れていても聴取できる雑音であって,その発生機構は気道の一部に狭窄部位があるときに生じる.
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