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特集 作業関連疾患への対応
症状への対応
咳・痰,喘鳴
Phlegm, Cough and Wheezing
日下 幸則
1
1福井医科大学環境保健学
pp.512-513
発行日 1993年6月15日
Published Date 1993/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414900861
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- Abstract 文献概要
■咳・痰は最もありふれている呼吸器症状である.喫煙常習者には,慢性気管支炎の症状としてよくみられるものである.喫煙をやめることで,消失ないし軽快し得る.
■咳・痰は重篤な疾患の初発症状でもある.発熱,呼吸困難,喘鳴ないし体重減少などの症状を伴う場合,慎重な鑑別診断を要する.
■喘鳴も喘息の主要な症状である.しかし,喘息のみならず気管支炎・細気管支炎でも観察される.慢性閉塞性肺疾患では,喘鳴,咳・痰,労作時呼吸困難などの症状が同時に見られ,喘息,肺気腫,慢性気管支炎の異同を区別し難い.
■多くの職業性因子(物質)が,呼吸器疾患の原因物質となり得る.しかし,特異的な病像を呈する,石綿,ベリリウムのような物質は,むしろ少数派である.
■咳・痰,喘鳴という非特異的症状を前にして,鑑別診断には常に作業関連性呼吸器疾患を念頭に置かねばならない.極めて多種多彩な物質への職業曝露に関連して,咳・痰,喘鳴などを主要症状とする作業関連性呼吸器疾患がみられる.詳細な問診を行うことが診断の出発点であるが,しばしば疫学的知識も要求される.
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