治療のポイント
慢性下痢患者の食餌指導
河野 実
1
1国立東京第一病院消化器科
pp.300-302
発行日 1971年3月10日
Published Date 1971/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402203533
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
まず下痢の性質をみきわめる
慢性下痢と言っても少し食べ過ぎれば下痢しやすい程度から,数年来便が固まったことがないというようないろいろな段階がある.平常便秘がちであるが,いざ排便があれば最後は常に下痢となるのは慢性便秘症の訴えであって慢性下痢症として取りあげるべきものではない.
いずれにしても患者が下痢を訴えたならば便の性状はもちろん,下痢になってからの期間,腹痛を伴うのか,食餌に注意しても便が固まらないのか,今までどのような薬を使用したのか,また直接止痢剤でなく抗生物質その他の薬を常用してないかどうかをよく訊ねなくてはならないし,最後に体重減少の有無を確かめることが大切である.どのような性質の慢性下痢症であるかを診断することが生活指導を行なうにしても先決問題であるからである.そのためまず下痢の成因を整理してみよう.
Copyright © 1971, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.