グラフ
頸椎疾患のX線像
山崎 典郎
1
1都立墨東病院整形外科
pp.79-84
発行日 1971年1月10日
Published Date 1971/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402203477
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頸椎のみならず一般にX線診断を行なう場合にはまず正常像を知らなければならない.特に脊椎(ことに頸椎)では,脊髄を容れる椎管腔と神経根の出る椎間孔は,脊髄および神経根と密接しているために四肢と異なり,ごくわずかな骨変化により著しい神経症状が見られるという解剖学的事項と同時に,臨床的にはまったく症状が見られなくてもX線上では著しい変化を見ることがある(Fig.10参照).このような相反する現象を見る場合のほかに注意すべきは環軸椎において正常にもかかわらず病的と思われがちな像を呈することがある.
以上のことより,臨床家は頸椎疾患の診断にあたっては,その臨床像を正確にとらえることにより頸椎のX線読影にあたらなくてはならない.まずX線診断にあたっては,微細な骨変化をとらえるためには,X線写真の撮影条件の向上に努めるとともに,撮影時患者の体位を正確にとらせることが頸椎X線診断においては重要である.このことは誤診や見落としを防止するうえで留意すべき重要事項として銘記しなければならない.
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