臨時増刊特集 日常役立つ診療技術
治療篇
III.心拍停止に対する処置
三浦 勇
1
1東女医大心研
pp.931-935
発行日 1970年5月20日
Published Date 1970/5/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402203197
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循環が停止すれば,臨床上患者は死亡したとみなされるが,脳組織が不可逆性変化を蒙るまでにはなお数分の余裕がある.もし循環停止の原因が偶発的なもので,これを除去すれば患者は死をまぬがれうる場合,あらゆる手段を講じて循環を再開させねばならない.これが心蘇生術であって,臨床的死亡が生物学的死亡に至る以前にこれを阻止し,原因に対して治療を行ない,患者の状態を復元することが目的である.
心蘇生術は,厳しい時間的制限下に行なわれる究極の治療である,当然のことながら,早期に治療を開始することが心蘇生術を成功させるための第1の条件となる.さらに,急変を発見するために十分な監視体制がしかれていること,治療機器が完備していること,熟練した治療チームを擁することなどが重要な条件である.
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