ルポルタージュ 西ドイツの医療・7
医科大学の未来像—建設中のウルム医学・自然科学大学
水野 肇
pp.446-447
発行日 1970年4月10日
Published Date 1970/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402203050
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注目されているウルム大学
ベルリン・フライ大学付属病院のセントラリゼーションとともに,もうひとつ西ドイツ医学の新しいあり方として注目されているのに「ウルム医学・自然科学大学」がある.この大学は,西ベルリンという特殊な地域に誕生したものとちがって西ドイツのなかから生まれたもので,いまのドイツ医学の欠点を除去しようとのねらいから出発した,いわば革新的な新しい大学であるところに大きな注目が集まっている.
西ドイツのミュンヘンから西へ約120キロメートルのところにウルムという街がある.人口わずかに9万3000人.いまだに東ローマ帝国時代のたたずまいを街のあちこちに残しているような静かな街である.街の中心にある教会の塔の高さが176メートルもあって,教会の塔としては世界一高いことで有名である.チリひとつ落ちていない美しい街路で,ところどころに緑があって,張り紙のようなものも少ない.ただそのなかにあって,音楽会のポスターだけがやたらに目につく.
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