筋電図のよみ方・最終回
誘発筋電図,trick motion
土肥 一郎
1
1中央鉄道病院内科
pp.350-353
発行日 1970年3月10日
Published Date 1970/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402203022
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神経生理学的覚えがき
神経線維を伝わるインパルスについては,直接に線維上においた電極から増幅器に導くならば,活動電位としてのスパイクを記録することができる.しかし,このような記録は人体で日常行なうのは容易でないので,このインパルスが筋肉へ伝えられてからの現われとしての筋電図が臨床家に利用されているわけである.したがって筋電図に関してすこし立ち入った考察を試みようとするなら,神経生理学に関する比較的巨視的なシェーマを頭に入れておくことが必要である.またこのことは,次項に述べる誘発筋電図の理解にも欠くことができない基礎事項である.
神経生理学は,心臓の興奮伝導の生理学と似た原理によって思考過程を組み立てることができる.正常インパルスの発生と伝導,異常インパルスの発生,2つまたはそれ以上のインパルスの相互干渉などの少数の原理に還元することが可能なわけである.ただし神経の場合は心臓の刺激伝導系め場合よりも,からみ合う要素が複雑であって,後者が1次元(直線上の現象)とするなら前者は3次元(空間内の現象)とすることができるほどである.
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