内科疾患と装具
和室用下肢装具
今村 哲夫
1
1都立心身障害者福祉センター
pp.270-271
発行日 1970年3月10日
Published Date 1970/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402203000
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障害者治療としての下肢装具は,主としてアメリカから導入されたもので,その歴史も必ずしも日本では古くはなく,リハビリテーション医学という言葉がいわれ始めてからである.リハビリテーション評価法・治療法が日本では確立されていない時代に外国式の装具が直輸入されたときに,ほとんどそのままのかたちでうけ入れられたが,その後日本式生活に外国の装具が実際に適当でない面や,また日本人としてのうけ入れに多くの問題があることがしだいに明らかになってきた.七沢病院の横山は、多くの下肢装具が病院で処方され有効でありながら,退院帰宅後予想以上に用いられていないことを報告している.この問題は実は今後リハビリテーション医学のなかでとりくまなければならない重要な課題である.
今月とり上げる和室用下肢装具は,現在まで考えられた日本式装具であってその数は多くないが,障害者のおかれている社会的環境,生活様式を考えたときに少しでも日本人の生活にとけ込めるように改良されたものであり,家屋の中で靴をはかない日本人にとって,最も典型的な和室を頭の中において製作されたものといってもよい.
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