統計
衛生統計からみた疾病構造の変化(1)
小川 博
1
1厚生省統計調査部
pp.272
発行日 1970年3月10日
Published Date 1970/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402203001
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近年における全般的な国民生活の向上,化学療法・外科療法・麻酔技術などの医学技術の発達,公衆衛生の発展は,国民の死亡率を減少させ,また人口構造の変化,社会環境の変化に伴って疾病構造に種々の変化をもたらしております.このような現状に対処し,わが国の今後の医療サービスや公衆衛生サービスの方向を決定するさい,国民の医療需要の動向としての疾病と傷害以下,傷病という)の状況を正しく,把握する必要があります.
そこで,全傷病あるいは全死因について,受療率,有病率および死亡率についてそれぞれの年次的推移をみますと,受療率では図1のごとく年々高率となり,この傾向は有病率も同様であり,しかも,有病率は受療率を毎年上回っていることは興味あることであります.この相違の一因は,受療率は患者調査,すなわち医療施設における国民の受療状況に基づいたものであり,有病率は国民健康調査,すなわち世帯の側における傷病の意識に基づいたものによるものと考えられます.また,死亡率は,これらの傾向とは逆に年々漸減の傾向を示しております.ちなみに昭和28年を100として昭和は44年の増減をみますと,受療率では204.2,有病率156.6,死亡率77.5のような結果になっております。
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