Japanese
English
Cyclopedia Medicina
膜性腎症
Membranous Nephropathy
石川 栄世
1
1慈恵医大病理
pp.91-92
発行日 1970年1月10日
Published Date 1970/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402202948
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
大量の蛋白尿とネフローゼ症候群とを伴い,形態的には腎糸球体毛細管の基底膜に特徴ある変化を示す腎疾患である.本症に最初に注目したのはBellらであるが,彼らは単に糸球体腎炎の1型として考えた.これが独立したdisease entityであるかどうかは未だはっきりしていないため,いろいろの名称が同義語として使われている—膜性腎炎(membranous glomerulonephritis),膜性ネフローゼ(membranous nephrosis),膜性糸球体症(membranous glomerulopathy),特発性糸球体腎炎(idiopathic glomerulonephritis)など.この混乱を整理する意味において,EhrenreichおよびChurgは,1966年に膜性腎症なる新らしい名称を提唱した.
臨床像はネフローゼ症候群のものと同じである.すなわち,大量の蛋白尿,浮腫,低蛋白血症,高コレステロール血症などで,その他血尿,糖尿,高血糖,尿素窒素の上昇,血圧の上昇などをみることがある.腎症は多くの場合はっきりしないが,通常,長い経過をたどる.ただし,重症例は1年以内に腎不全のため死の転機をとることがある.
Copyright © 1970, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.