新春特集 I Leading Article '70
5 病院における内科診療のありかた
内科医は生命全体を把握する
梅原 千治
1
1東医大内科
pp.22-23
発行日 1970年1月10日
Published Date 1970/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402202926
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内科学とは総合の技術
いつもいうことだが,"内科学とは"と問われて"内科学とは総合の技術"だと私は答える.
だから,内科医は絶えず生命全体を把握することを考える医者でなくてはならない.そういう意味で"内科医はいつも大統領だ"と私は主張する.今,ニクソンさんを連れだして,ベトナムで大砲を撃たせても,爆弾を落とさせても,満足に目的物に弾を命中させることができるだろうか.それならばアメリカの兵隊(スペシァリスト)のほうがよほど上手にやってのけるに違いない.話を野球にたとえてみても同じことである.ここぞと思う所で,監督みずから出陣してみた所で,ヒットやホームランが打てるとは限らない.これは会社やその他すべての人間の社会機構についても当てはまることのように思われる.野球の監督も会社の社長も,その総合判断力が買われているのであって,きわめて限られた技術や事務的能力が買われているのではない.それと同様に内科医もまた生命に対する総合判断力において真価を発揮する医師でなくてはならない.
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