新春特集 I Leading Article '70
4 検査項目選択の論理と現状
臨床検査成績のムダのない利用を—検査部から
小酒井 望
1
1順大臨床病理
pp.20-21
発行日 1970年1月10日
Published Date 1970/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402202925
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検査部の‘主人’の不安
卑近な譬であるが,検査成績という商品を売る中央検査部の主人からみると,手当たりしだいに成績を買ってくれるお客(臨床家)は,商売繁昌にはいい顧客かもしれない.しかし老舗の主人は,じっくり商品を吟味して買ってくれる通のお客を好む.心をこめて作った品を,手荒く扱ってすぐ捨てたり,使わないで押入れの中に放置されたのでは,誠に情ない.
中央検査部の責任者たる身は,うなぎ昇りにふえていく検査統計をながめながら,わが業績向上とほくそ笑みながらも,ふとこれだけの検査の全部が全部,本当に診療に利用されているだろうかという不安が脳裡をかすめる,ある商品を大々的にPRし,購買熱をあおって売りまくっても,それが生活に密着しない品であると,やがては売れなくなり,忘れられてしまう.
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