思春期医学の諸問題

疎外されてきた思春期医学

　思春期は小児でも成人でもない特異な時期である．小児から成人への単なる移行期ではなく，心身未熟な小児状態から，身体的にも精神的にも成熟して社会人の仲間入りする準備期である．したがって他の時期にも増して医学上，社会上の考慮が必要である．しかるに今までは全く冷淡に扱われてきた．

　近年，年齢に特有な問題について専門的な研究や医療が行なわれるようになり，老人，成人，新生児，未熟児などにそれぞれ専門のクリニックが設立され，それぞれの年齢群での診療が能率的に的確に行なわれるようになった．しかし思春期年齢に対しては，このような考慮がまだ払われていない．