巻頭言
中国精神医学の諸問題
加藤 正明
1
1東京医科大学精神医学
pp.684-685
発行日 1983年7月15日
Published Date 1983/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405203607
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中華人民共和国の精神医学も大きく動いている。文化革命によって大学を追われ,医師として働くことさえ認められなかった精神科医もいる。この嵐は医師内部や精神科医内部での革命ではなくて,知識階層を代表とするあらゆる文化に対する批判であり,変革であった。
今度,WHOの提案によって「プライマリ・ヘルスケアにおける社会心理的局面」に関する国際・国内ワークショップが開かれ,再度訪中する機会を得た。全中国から100人近い精神科医が,上海,南京はもとより,ハルピンや蒙古からも集って,10日間北京でほとんどまる一口発表と討議を行った。一度の訪問より2度の訪問が有効なことは当然だが,初回に比べて4倍もよくわかったように思おれた。同行した林宗義,Francis Hsu,Wen-Shing Tsengのように,中国語で直接議論するといらわけにはいかなかったものの,ボストンのLeon Eisenbergも筆者も,小集団討議談や個人の会話ではかなりつっこんだ話ができたと思っている。ことにこのワークショップの中心になった沈漁村,夏鎮夷,陶国泰などの指導的な精神科医とは3度目か4度目の再見であったことは,大変都合がよかった。なお現在中国精神医学会の会長がXia(夏)教授,理事長がShen(沈)教授である。
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