病歴のとりかた
血液疾患
河北 靖夫
1
1熊大第2内科
pp.1018-1021
発行日 1968年8月10日
Published Date 1968/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402202347
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一般に病歴がうまくとれていると,それを聞いただけで,あるいは読んだだけで,およその診断がつく場合が少なくない,血液疾患でも同様な場合がみられるので,入念に病歴をとることは,診断あるいは治療上重要であり,他の疾患の場合と同様,ある症状をめぐっていろいろの病気の場合を考えながら,患者に誘導的に質問して,病歴をとることが肝要である.舌の他覚症状がかるいためにみおとされ,食事のさいの舌の疼みは軽度ながらあったにもかかわらず,患者はこれを訴えず,病歴をとるときに質問することも怠ったために,再生不良性貧血と考えて治療が開始され,たまたまビタミンB12および葉酸が併用されたところ,みごとな緩解をきたし,はじめて悪性貧血(Addison-Biermer巨赤芽球性貧血)と診断されたような症例さえある.この場合ただ一言ではあるが,舌の疼みについて問いただせば,この誤診はおそらく避けられたはずである.
一口に血液疾患といっても,その数は多いし,また他の疾患で血液学的に異常を伴う疾患についてもふれたい.しかし与えられた紙数は少ないので,要点についてのみ述べることとする.
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