症例 全身性疾患と骨・8
血液疾患と骨—骨髄腫の骨変北
今村 幸雄
1
1東大中尾内科
pp.1011-1016
発行日 1968年8月10日
Published Date 1968/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402202345
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はじめに
骨髄種において骨変化は骨髄穿刺液中の骨髄腫細胞の出現,蛋自質異常(血清・尿・組織)についで主要な所見であることはすでに広く知られていることである.骨髄腫と診断された症例の約90%(著者ら246例中217例88.2%,Snapper 97例中92例94.8%,Kenny et al 91.2%,Schwartz 91.8%,Heiser & Schwartsman 87%)になんらかのかたちで骨変化がみられる.初診時骨変化がみられない場合でも経過が進むにつれ骨変化が現われてくる例があり,われわれもそのような症例を経験している.しかし,はっきりした骨変化がみられなくて死亡してゆく症例も少数ながらあることは念頭におく必要がある.
臨床的に骨変化は身体各所の疼痛として現われ,もっとも患者を悩ませる症状であり,またこのような疼痛(腰痛,脊痛.胸痛)あるいは骨折などを契機として本症が発見されることが多いことを考えると,骨髄腫における骨変化は臨床的にきわめて重要な所見である.
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