文献抄録
慢性気管支炎と気管支喘息の組織学的変化—Thorax 23, 168-172(March)1968
若林 保司
pp.859
発行日 1968年7月10日
Published Date 1968/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402202299
- 有料閲覧
- 文献概要
2グループの患者—慢性気管支炎の患者24人と気管支喘息の患者24人のグループ—について,気管支鏡と気管支の生検をおこない比較した.対照に選んだ健康者24人についても同じことをおこなった.粘液の分泌亢進は慢性気管支炎の患者および気管支喘息の患者の両方にあった,が,気管支喘息では,気管支粘膜の肥厚がもっぱら杯細胞をおかし,粘液は,過沃度酸シッフ法でよく染まった.慢性気官支炎では,深部の気管支腺が侵され,また杯細胞もおかされた.このばあい,粘液はアルシアン青でつよく染まった.基底膜の肥厚は,気管支喘息ではほとんど恒常的であったが,慢性気管支炎ではまれにしかなかった.組織のエオジン嗜好細胞増多が喘息ではごく頻繁にみられ,かつその程度も強かった.しかしながら慢性気管支炎ではこの所見は珍しく,しかも僅少であった.肥満細胞は,喘息ではその顆粒が減少し,細胞数も減少していた.しかし慢性気管支炎ではその細胞数は増加し,細胞内に夥粒がギッシリとつまっていた.以上のことから気管支喘息と慢性気管支炎はそれぞれ別の病気であることが確かめられる.
Copyright © 1968, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.