統計
交通事故負傷者の追跡(1)
菅沼 達治
1
1厚生省統計調査部
pp.551
発行日 1968年5月10日
Published Date 1968/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402202195
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警察庁の統計によりますと,昨年中の交通事故による負傷者は64万を上まわり,これを5年前の昭和37年の31万と比べますと,じつに2倍という激増ぶりであります。この負傷者の年齢別の人口対の率をみますと,女では小・中学生をのぞいて,全年齢を通じおおむね一定の率を示しています。男では社会活動による危険への曝露機会の増加と,青年期における精神・心理的特性によつて,16歳以後急速な上昇を示し,20歳代で大きな山をつくつています。すなわちこの年齢層では,70人のうち年間1人は交通事故により負傷する危険性があることになります。その後年齢とともに低下することも,女とちがつた点であります。このように交通事故による負傷の危険は,男の青壮年に多いのでありますが,たとえ死亡を免がれたとしても,その後遺症が社会生活,家庭生活に与える影響はきわめて大きいことが予想されます。そこで昨年10月筆者の関係した一新聞社の調査を記してみましよう。
この調査は東京都における自動車事故負傷者のうち,事故発生当時全治30日以上と診断された20歳-60歳の男の重傷者について,健康状態,後遺症の種類,日常生活の支障・補償の解決,就業・家計状態を,半年後と1年後のものそれぞれ150名ずつ郵送調査により追跡したものであります。
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