内科疾患と皮膚・5
色素沈着
西山 茂夫
1
1東大分院皮膚科
pp.662-665
発行日 1968年5月10日
Published Date 1968/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402202229
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色素沈着とは
皮膚の色素の沈着ないし色素の増強は,まず解剖学的にみるならば,1)角質層の性状,2)基底層のメラニン生産細胞(Melanocyte)の増加またはメラニンの増加,3)真皮の色素顆粒の細胞内外の沈着が関係している。
そのおのおのの場合について,皮膚の色調には若干の特徴がある。角質層では,アミノ酸が炭水化物と結合(重合)して,黄色ないし褐色調を呈する。角化の異常をきたす疾患,たとえばAcanthosis nigricans(本誌,5巻2号128ページ参照)などの汚い褐色調はこれに相当する。表皮基底層のメラニン増加では,比較的一様な淡い褐色となる(たとえばアジソン病)。真皮における色素性顆粒の沈着は,その浅深によつて多少のちがいがあるが,一般に青味をおびて見える(たとえば銀皮症)。もし同時に表皮基底層にメラニン色素の増強があれば,褐色と青の混じた色調となる(ヘモクロマトージス,太田母斑)。
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