第17回医学会総会速報・1 総会から医学の将来を展望する
分化と総合の問題
高橋 晄正
1
1東大・物療内科
pp.647-648
発行日 1967年5月10日
Published Date 1967/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402201768
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部品を寄せ集めても"生きもの"にならない
生体は一つの有機体である。いいかえると,生体はその構成成分にばらばらに分解することができ,それはそれなりに部品学の対象としての意味はあるであろう。けれども,それらを単に寄せ集めただけでは"生きもの"にはならないということである。
一般に有機体を分解的にみていくことはやさしい。とくに形態が問題であるときには,分解的にみてもその所見はさほど変わらないと考えられる。たとえば巨視的な解剖学などは,そのような"素朴なる機械論"が十分よく成り立つ領域である。それが電子顕微鏡所見のようなミクロの世界になつても,固定とか染色とかいう観測手段の影響に気をつけるなら,それなりの部品学は成り立つであろう。
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